誰でも「運動」が必要 でも痛みがある時はどうするの?
なぜ運動が必要か?
人間として日常の行動を自由に行う為でなく、脳への刺激や、筋肉から出る特殊なホルモンの癌を抑制する力など、運動の効果はこれまで以上に強調されている昨今です。誰でも運動の大切さ、必要性は認めるところです。
しかし、腰や膝、股関節などに痛みがあって、運動が思うに任せない人もいます。
かく言う、私、宮嶋泰子は2022年1月に突然、右股関節の痛みで歩くことができなくなりました。
MRI撮影の結果、突発性の右大腿骨頭壊死と診断されました。
2か月間、松葉づえや杖で免荷措置で痛みを軽減させ、痛みが軽減してきた頃からリハビリを始め、4か月目から近所の民間ジムにも通い、水中歩行運動や水泳、さらには自重トレーニングをパーソナルトレーナーに指導してもらっていました。
しかし、運動は決してすんなりとは運びませんでした。浮力でかかる重さが軽減される水中歩行でさえも、「痛い!」と思わず叫んでしまうことも少なくありませんでした。
1年が経過し、今では、時々痛みが出ることもありますが、歩くことには大きな支障がないところまで回復してきました。
新たな出会い
本格リハビリを初めて約1年、2023年5月に縁あって、股関節の専門医と出会いました。
(公財)日本股関節研究振興財団の理事長を長きにわたって務められている別所諸兄医師です。上馬で整形外科クリニックを経営され、診断だけでなく、リハビリや運動療法の指導も行っていらっしゃいます。
ここで新たに、1年ぶりにMRIを撮影。その画像では壊死した部分はよくなっているように見えました。しかし大腿骨頭にはまだまだ問題もあり、右だけでなく、左の股関節の問題も新たに指摘されました。
最近、どうも左の股関節も渋い痛みが時々出ていたのです。次から次へ出てくる体の変化。これを人は加齢と呼ぶのでしょう。
元々、股関節脱臼に近い形で生まれ、内反足もあったこともあり、脚と足は私にとっては鬼門のようです。
そこで勧められたのが何と、「BーSES」です。電気刺激によって運動療法をするためのものです。
あの腹筋を鍛えるために一時爆発的ブームになったブルブルと震えるSix-Padの大型版と考えていただくと簡単かもしれません。
腰や膝、また私の様に股関節に疾患を抱えていると、運動をしようにも痛くてできないという状況が発生してきます。しかし、電気刺激であれば、筋力強化が図れる、ベッドに寝たままの状態でも筋力強化が可能になるというのです。
そして、驚いたことに、このB-SESを考案したのが、あの「京大の筋肉1-3」シリーズで知られている京都大学名誉教授の森谷敏夫さんだったのです。
森谷敏夫名誉教授の本はこれまでも読んでいました。シリーズ1と2は森谷教授ご自身の筋肉写真というかなり衝撃な表紙です。
この本が興味深い内容だったのでよく覚えていたこともあり、この新しい「ベルト電極式骨格筋電気刺激法」B-SESを試してみるしかない!となりました。
実は、この森谷教授はもともと中京大学のご出身です。現在中京大学の教授を務めるあの水泳平泳ぎの名手、高橋繁浩さんとも、半年ほど前に偶然、森谷敏夫さんの電気刺激による筋肉づくりについての話をしていました。
今回の治療の提案がまるで以前から決まっていたかのようなストーリーで、内心驚いたというのが正直なところです。
実際にやってみました。
腰、膝上、足首上の三か所に水でぬれた特殊ベルトを巻き付けます。
そのベルトに電極を付けて、スイッチオン。
最初はびりびりと市販の電気パルス治療器でも経験のある振動ですが、徐々に強度を上げていくと、キューときつく締め付けられて、一瞬全身が固くなるほどでした。セッティングしてくれた方によると、強い刺激を受けて寝ていながら脚がびょんと上がってしまう人や、まるで本物の筋トレを行っているように激しい息遣いになっていく人もいるそうです。
糖質を利用して速筋を刺激して強化するこの電気刺激を、これから一週間に二度、やってみることにします。
その結果についてはまたご報告したいと思います。
その前に、森谷敏夫京大名誉教授のコメントを是非お読みください。
それにしても、超高齢化社会で寝たきりになったとしてもできる筋力強化方法が作られるとは、驚きを持って時代の流れを感じました。
執筆者紹介:宮嶋泰子
スポーツ文化ジャーナリスト 元テレビ朝日スポーツコメンテーター (一社)カルティベータ代表理事
テレビ朝日にアナウンサーとして入社後、スポーツキャスターとして仕事をする傍ら、スポーツ中継の実況やリポート、 さらにはニュースステーションや報道ステーションのスポーツディレクター兼リポーターとして自ら取材し企画を制作し続けてきた。
1980年のモスクワ大会から平昌大会までオリンピックの現地取材は19回に上る。43年間にわたってスポーツを見つめる目は一貫して、勝敗のみにとらわれることなく、 スポーツ社会学の視点をベースとしたスポーツの意味や価値を考え続けるものであった。2016年には日本オリンピック委員会からの「女性スポーツ賞」を受賞。
1976年モントリオールオリンピック女子バレーボール金メダリストと共にNPOバレーボール・モントリオール会理事として、 日本に定住する難民を対象としたスポーツイベントを10年以上にわたり開催、さらには女性スポーツの勉強会を定期的に行い、 2018年度内閣府男女共同参画特別賞を受賞。
外部の仕事として文部科学省中央教育審議会青少年スポーツ分科会委員や日本体育協会総合型地域スポーツクラブ育成委員会委員、 日本オリンピック委員会広報部会副部会長、日本障がい者スポーツ協会評議員、Bリーグ理事、日本新体操連盟理事等多くの役職を歴任。日本女子体育大学招聘教授。