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2020.12.28
スポーツ・芸術・文化

「五輪」の息子の独り言 コロナ禍の下でのラグビー &人種差別反対の意思表示

コロナ禍の下でのラグビー

コロナ禍の中で、いつもの年と違う年末年始を迎えた。

そんな厳しい環境の中で、冬のスポーツを彩る国内ラグビーは熱い戦いが続く。高校ラグビー、大学ラグビーはクライマックスを迎え、一方で最後のトップリーグが1月16日から開催される。

世界に目を転じれば、南半球でも、北半球でもコロナに苦しめられながらも新しい国際試合を展開し、大いに盛り上がっている。

11月から開催されたラグビーの新しい国際試合「オータムネーションズカップ」は12月6日、イングランドトゥィケナムラグビー場で行われた決勝戦イングランド対フランスはラグビーの試合では珍しい延長戦という激闘の末、イングランドが初優勝の栄冠に輝き、その幕を閉じた。

この大会、日本も参加する予定であったがコロナ禍の中で渡航が出来ず、不参加を余儀なくされたと聞いている。

結局従来の「シックスネーションズラグビー」の参加国であるイングランド・スコットランド・ウェールズ、アイルランド、フランス、イタリアに加え、ジョージア、そしてフィジーの8ヶ国による大会となった。

ヨーロッパを席巻するコロナ禍により、試合は無観客で行われ、決勝戦だけ限定2000人の観客が入場できた。参加国のうち、フィジーはコロナ陽性者の発生により一試合しか出場できず、残念な結果とはなったものの、総じて無事に大会を終えることができラグビーファンとしては胸をなでおろしている。

人種差別反対の意思表示

このオータムネーションズカップにおいては、もちろん試合そのものにも注目したが、試合前の両国国歌演奏(ナショナルアンセム)に続いて行われた人種差別に反対の意思を表す「サイレントモーメント」が行われたことが一層この大会を意義深いものにした。

「オータムネーションズカップ出場国は人種差別に反対します。ラグビー界、スポーツ界そして我々の日常生活において人種差別やいかなる種類の差別も許されません。

我々の試合では団結と誠実さとリスペクトを最も大切にしています。ラグビーは一丸となって人種差別と闘います。」というステートメントも発表されている。

サイレントモーメントの間、人種差別に反対の意思を表す片膝をひざまづく姿勢をする選手たちも数多く見かけた。

IOC国際オリンピック委員会はどうするのか?

こうした光景にスポーツに政治を持ち込むなと批判する向きもあるが、そもそも人種差別反対は政治的な意思表示ではなく、人間としての普遍的な権利の侵害に反対することだ。

国際スポーツは率先してこの人種差別に取り組む当然の責務を負っていると思う。


それに対してIOCは未だに積極的な意思表示を表していない。こうした普遍的な人間としての権利主張さえ、「政治主張」と声高に批判するIOCの姿勢に強い疑問を持たざるを得ない。

オリンピックムーブメントとはオリンピックを通じて、出場各国の友好親善を図り、国際平和に寄与するものだと理解している。そして、その前提となるものは「人種差別」のない社会の構築であることは言うまでもない。

IOCが未だにはっきりとそれを主張せず、ましてや片膝をひざまづくパフォーマンスを禁止とすることに、果たしてどれだけの納得性が得られるであろうか。

国際ラグビーの英断と比較すればするほどIOCの頑なさが際立ってくる。
残念な事である。

Written by 川本峰男

著者プロフィール

川本峰男(カワモト ミネオ)

生年月日 1956年4月23日(64歳) 

1979年3月明治学院大学経済学部卒

1979年4月㈱後楽園スタヂアム(現㈱東京ドーム)入社

以来、スポーツ&レジャー分野を中心に、幅広い業務に携わる。

㈱東京ドームホテル取締役営業部長、㈱東京ドーム営業推進部長、プロパティ管理部長等を歴任し、2020年3月末日、41年間にわたる会社生活を終える。

父・川本信正は読売新聞運動部記者在籍中1936年にオリンピックを「五輪」と造語、戦後はフリーのスポーツ評論家として主にアマチュアスポーツ、オリンピック更には社会体育の分野で評論活動を展開した。1980年モスクワ五輪ボイコットにはJOC委員としてボイコット反対の姿勢を貫いた。1996年88歳にて逝去。

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