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2021.02.05
スポーツ・芸術・文化

森喜朗東京オリ・パラ組織委員会会長の女性蔑視発言に思う

何度か森喜朗氏が座長を務める会議に出席してきた者として

女性蔑視発言で問題となっている森喜朗氏。森氏が座長を務める会議に何度か出席し発言をしてきた者として、「ああ自分もそう思われていたのか」と感じながらも、感想をまとめておきたい。女性蔑視についてはさんざん言われているので、少し頭を冷やして違うアングルからアプローチしてみることにする。

*スピーチについて

*会議について

*女性の賢さについて

*オリンピック憲章について 

スピーチとは

まず、問題となった40分間のスピーチの全文を読んでの感想として、森さんらしい物事の「表」と「裏」を上手に組み合わせて人を引き付ける「話術」は見事だということ。出席している人たちの興味を引き付け自分の世界に引きこむ力。83歳でこれだけのスピーチができる人はそういないだろう。しかし、ここで問題になるのは、スピーチとは何かということだ。「話術」だけではなく、その根底に流れる「思想」「ものの考え方」こそがスピーチでは最も重要であり、どんな流麗な語り口で語られようとも、それを語る人が伝える内容が偏見に基づいたものであれば意味をなさない。「表」と「裏」の出来事をねじりながら話す森さんは、この「裏」でたびたび自分が普段考えている「思想」を露呈しては問題となってきた。今回もポロリと本音が出たというところだ。 小説もしかり。どんなに文章がうまくてもその根底にながれる「思想」が下劣であればそんな作家の小説は読み継がれることはない。

会議とは・・・

*次に、森さんが考える会議の在り方が今回明らかになったようにも思う。これまで日本の政治では物事が決められるのは「料亭」「ゴルフ場」、最近では「喫煙所」というのもあるようだが、要するに女性があまり入り込めない場所なのだ。英語にもなっている「根回し」という作業が行われ、会議はほとんど形式だけという構図だ。

会議はシャンシャンで終えるものという考え方だろう。そこに根回しのできていない女性が入ってくることで、思いもよらぬ発言があり、会議が長引きイライラするということか。しかし考えてみてほしい。会議というのは出席する人の多様性により様々な意見が出て深みを増していくものではないのだろうか。

森氏が考える賢い女性

*女性の賢さについて森さんの妻は早稲田大学卒業で、結婚は大学卒業一年後。大学時代の二人と友人だったという下重暁子さんに学生時代の二人のことを伺ったことがある。森さんは奥様のアドバイスはかなり気になさるようだ。子供の面倒から選挙の裏支えまで、森家の切り盛り一切を行ってきた女性だ。森さんが「〇〇さんは賢いねえ」という時や、女性に関する舌禍発言を思い出すと、ほとんどがご自身の妻の存在と比べながら発言をしているように思える。

時代とともに女性の生き方にも様々なパターンがあり、多様性に富んできているということをあまりお分かりになっていないように感じるのだ。ここが時代錯誤を感じさせる一番のポイントだろう。女性は男性を立てる者という考えが染みついている。

オリンピック憲章、SDG’sについて

*オリンピック憲章についてオリンピック憲章では性別による差別を禁止している。またIOCはスポーツにおける女性の地位向上を促し推進し支援するとしている。その意味で森さんはオリンピック憲章違反ということになる。IOCも含め、いま世界は国連が採決したSDG’s(持続可能な開発目標)に向かって2030年までに世界の人で全員で諸問題を解決していこうと動いている。このSDG’s5番目の目標に「ジェンダー平等を実現しよう」がある。こうした世界の流れを森さんは理解していないのではないか。

日本のジェンダーギャップ指数は153ヵ国中121位。G7中では最低でアラブ首長国連邦にも抜かれているという酷さなのだ。これをまさに証明するような今回の出来事に怒りを通り越して、あきれそして悲しくなる自分がいた。しかし・・・諦めない。

会議ではきちんと発言をすること、女性の皆さん、頑張りましょう。そして、森さんのスピーチに内心「よく言ってくれた」「その通り」と思って笑った方々、どうぞお出口はあちらです。

森喜朗氏の今回の発言の全文章は以下からご覧になれます。
是非一度お読みになってください。

https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/news/202102040000028.html

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