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2021.01.18
スポーツ・芸術・文化 世界の国から

コロナ禍の下でのスポーツ・タンザニア編 コロナが存在しない???野球やソフトボールはのんびりと

Reported 辻本美智子

日本では想像もできないことが起きる・・・それがアフリカ!

日本では想像もできないことが起きる、それがアフリカかもしれません。

2020年10月にタンザニアの大統領再選を控えていたマグフリ大統領が4月に「神に祈りを捧げ救いを求め、経済を回し続けるように」と国民に求めました。そして3日間神に祈った結果、「タンザニアからコロナは撲滅された」と発表されたのです。

現在タンザニア国内でコロナは,無いとされているため、コロナによる規制はありません。様々なところでスポーツの練習が行われ、試合もこれまでと変わらずに行われています。もちろんマスク着用もありません。

今、人々が気にしているのは、例年2月最後の日曜日に行われているアフリカ最高峰のキリマンジャロを見ながら走るキリマンジェロマラソンです。これまで多くのランナーが世界中から参加してきました。エントリーは始まったようですが今年はどうなるのか気になるところです。

タンザニア甲子園

2020年12月20日に第8回タンザニア甲子園と私たちが呼ぶ学校対抗の野球大会が行われました。会場はアザニア中等学校グランドと草の根無償資金協力で建設された野球場です。参加チームはダルエスサラーム地区およびザンジバルとモシ(サンヤジュウ)からのみ参加で、昨年まで継続的に参加していたムワンザ、ドドマからは残念ながら参加はありませんでした。やはりコロナの影響でしょうか。

日本の甲子園と違うのは、対象が中等学校になっているところですが、中には卒業生が入っているチームもある事、さらに男子の野球だけでなく、女子のソフトボールの試合も行われることでしょうか。

男子野球が8チーム(アザニア中等学校AとB、ジュフディ中等学校、キバンバ中等学校、キブウエジ中等学校、キバハ中等学校、ザンジバルチーム、サンヤジュウ中等学校)、女子ソフトボールが4チーム(ジュフディ中等学校、キバンバ中等学校、キブウエジ中等学校、ザンジバルチーム)参加しました。

 開会式は20日10時過ぎに開始され、ザンジバルのスポーツ部長、ダルエスサラーム地区スポーツ部長、ナショナルスポーツカウンシル代表代理、アメリカ大使館広報担当書記官、ザンジバル野球連盟およびタンザニア野球ソフトボール連盟関係者が参加して行われました。アメリカ大使館の広報担当が来るあたりが、発展途上国におけるスポーツをどの国がサポートしているかがわかって面白いです。

例年ですと、タンザニア野球ソフトボール連盟を支援している日本の団体、かつてはアフリカ野球友の会と呼ばれていたJ-ABSが必ず参加していたのですが、今回はコロナで参加を見合わせました。

また、例年、大会を支える主審等は日本人が務めてタンザニア人には出番がなかったのですが、今回は、すべてタンザニア人のみで行われました。選手たちが審判の判断に従い、元気に試合が展開されている様子を見る限り、素人目にも、野球がタンザニアに根付いてきたという印象を強く受けました。

ハプニングとして、男子の試合途中で球場外の野火がグランドにまで入りこんで、試合を中断して全員で野火を消す消火活動を行うという場面もありましたが、試合は全般的に力強く秩序だって行われた印象があります。

<三塁ベース>

女子ソフトボール

女子ソフトボールでは、判定などで数回試合が中断して選手が抗議する場面もありました。まだまだソフトボールそのものに慣れておらず未熟という印象です。日本の小学校レベルといった感じでしょうか。ピッチャーが投げたボールがキャッチャーに届かないこともしばしばで、フォアボールの押し出しというのがほとんどでした。既定の回数までいかず時間で試合終了となる始末。しかし、選手たちが楽しんでいる様子は、試合でも練習でも見ることができました。

試合中にグランドを横切ったり、アイスを食べたりと日本では、考えられないことはありますが、アフリカを知っている私としては、支援する側の日本人がいないのに試合が行われていること自体に驚きがありました。 かつて私も30年前にアフリカは、マラウイ共和国で陸上競技の指導をした経験がありますが、大会が突然無くなったり、あっても時間通りに進むことがなかったので、現地の人たちだけでできるってすごいと思いました。

これも長年、タンザニアで青年海外協力隊の野球隊員や体育隊員が指導してきた結果だと思います。

女子選手の中には、帽子の下にヒジャブ(ベール)をしているイスラム教徒の子もいます。宗教的にも異なる様々な子たちが集ってチームを作ってソフトボールをしているのです。

今後、日本の「世界の笑顔プロジェクト」で野球用具の寄贈をタンザニア野球ソフトボール連盟に行っていく予定だそうです。数年もたつと驚くほど上達しているのかもしれません。

また、タンザニアで初めて女子だけの陸上競技大会(レディ・ファースト)が2017年からJICAや大阪大学の岡田千あき准教授が中心に行われていましたが、これもコロナの影響からか、今のところ行われる様子はないようでとても残念です。              

しかし、この国でも徐々に女性がスポーツをすることに対する抵抗が少なくなっているように感じられます。

辻本美智子さんプロフィール:

1989年から1991年青年海外協力隊体育隊員としてマラウイ共和国赴任。夫の仕事でガーナ3年・南アフリカ3年・マラウイはトータル4年、家族で暮らす。

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