アジアスポーツフェスタ2025がこんな風に行われました!ご報告

ベトナムからボートピープルとして小さな漁船で逃げてきた人々が日本に到着してから50年がたちます。その子どもたちや孫も含めて、さらにはラオスやミャンマー、ネパール、中国、フィリピン、オーストラリア、スリランカなど8か国につながる人々80人と、高校生や大学生のボランティアなど137人、総勢217人が横浜市平沼記念体育館に集いました。まさに多文化共生をスポーツを通して体験するスポーツイベントです。
日時:2025年10月26日(日) 10時から16時まで (スタッフは9時から17時まで)
場所:横浜市平沼記念体育館
主催:アジアスポーツフェスタ2025 実行委員会 羽入田眞一(会長)、細谷早里、加藤丈太郎, 飯塚紀子
一般社団法人カルティベータ(代表:宮嶋泰子)
助成:かめのり財団
協賛:合同会社PRISM
特別協力:横浜市スポーツ協会
後援:神奈川県教育委員会
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)駐日事務所
横浜市にぎわいスポーツ文化局
VIK商品提供社:オタフクホールディングス
味の素株式会社
ミズノスポーツ振興財団
まるか食品株式会社
全国農業協同組合連合会 本所
旭化成プロダクツ株式会社
株式会社 構造機能科学研究所
磯部温泉 お菓子のゆもと
CINGA
サポート協力:
1976年モントリオールオリンピック女子バレーボール金メダルチーム有志
神奈川県高校生
関東学院大学細谷早里ゼミ生
明治学院大学加藤丈太郎2年生ゼミ生
東海大学女子バレーボール部OG他、
横浜市南区スポーツ推進委員
横浜市ソフトバレー愛好家
ネットボール日本代表つばきJAPAN他
日本語・学習支援・東戸塚キララの教室
かめのり奨学生、社会人ボランティア
医療:内山健吾、スチール写真:Yo Nagaya、動画撮影:松本良雄、ドローン:北村新、現場監督:大上志麻
ご寄付:中里雅子様
【実施スケジュール】
10時 開会式
10時10分~準備体操とラテンダンス
10時45分~ソフトバレーボール、バレーボール
12時30分~アジアを知るためのランチ(ベトナム料理3種類)
13時~子どもたちによるベトナム・ラオス紹介+ミャンマー紹介
13時~ネットボール模範試合、体験プレー
14時~障害物駅伝
15時~表彰式と閉会式
16時過ぎ 片付け
17時 解散
【オープニング】
1976年のモントリオール五輪の女子バレーボール金メダリストと共に2008年から続けてきたこのイベントですが、会の解散と共に、主催は(一社)カルティベータとなり、今回はアジアスポーツフェスタ実行委員会を立ち上げて主催としました。今回は久々に金メダリスト7人が参加。

写真右端から、横山樹理。矢野広美、高柳昌子、金坂克子、白井貴子、岡本真理子、飯田高子の面々。左手前はカルティベータ代表宮嶋泰子。あのオリンピックから49年。メンバー最高齢者は80歳になりました。

開会式でのサポーター紹介。 2008年から継続して手伝ってくれている横浜市スポーツ推進委員の皆さん。ありがとうございます💛
【準備体操とキューバダンス】
元体操選手で、その後キューバにわたってダンスを身に付けてきた長谷部ミキさんの指導。皆いつしかラテンのリズムに乗って、手に手を取っての体ほぐしダンスです。
大好評の長谷部ミキさんの体操指導とダンス指導。アイスブレーキングの役割を十分に果たしてくれます💛






心も身体もやわらかくなったところで、さあ、はじめましょう。
【バレーボール&ソフトバレーボール】
いつもの通り、ネットを挟んだ握手で始まります。
男女ミックス、または女子だけのチームでソフトバレーボール。
バドミントンネットの高さを伸ばしての急造ネット。アジアにはスポーツに縁のなかった女性が多いのです。その場で作った急造チーム。国籍も年齢もまちまちですが、あっという間に心は一つに。




小学高学年から中学生には、金メダリストが直々に指導。
みんなの上達ぶりにびっくり!
【感想】 自分でやる意欲が増すマジック
日本語・学習支援・東戸塚キララの教室
小山まゆみ
スポーツを通じて楽しみながら多文化共生への理解を深めるという目標通り、楽しく学びの多い一日でした。学習支援教室の皆さんと一緒に参加し、今回はスタッフのお手伝いをしました。普段は公立小中学校で日本語を教えたり、母語支援をしています。生い立ちに関わらずだれでも学びたいことを学び、自己実現し、お互いを受け入れて、一緒に地域社会を作り上げていけたらと願っています。
ボールを飛ばしたい方向に腕をもっていってごらん、少し膝を曲げて打つ時に伸びてごらん・・・金メダリストからの金言を試してみると魔法のようにうまくいきます。「うわ~、よくなったじゃない!」とまわりの人が言ってくれるともっと試したくなります。苦手だからと練習したがらなかった子が自ら挑戦し続けていました。引っ込み思案でマスクが離せなかった子がキラキラした笑顔を見せて躍動していました。
作業に関してもスタッフがやってしまうのではなく、ボランティアの皆さんが上手くできるよう見守ってほしいというお話でした。実際に学生の皆さんはとても頼もしくて細かい指示を出す必要はなく、こういう問題があると言うとみんなで工夫して立派に解決してくれました。初めて会った人々がチームの目標を達成するために意見を出し合い、素早く体を動かして、自然に助け合っていました。
難しい指南書を読むことではなく、逆に手取り足取り教えてもらうことでもなく、ちょっとした足がかりをもらって自然に体現していく。これこそどこかで習ったスキャフォールディングというやつだ!と思いました。次の世代に活躍してもらえるように橋渡ししていくという私たち大人の役割の大切さと楽しみを味わった有意義な一日でした。


男性チームによるバレーボールの試合も行われました。
【感想】 審判員として参加して
横浜バレーボール協会 審判員
五十嵐裕子
私たち5名でソフトバレーボール・バレーボールの審判で参加させていただきました。
まず、ホワイトボードへの 対戦表は手作り感満載でほのぼのとした気持ちになりました。
会場でチーム分けされたチームでのゲームは、その場で編成されたとは思えないほど、声を掛け合い、励ましあいながら 歓声とともにボールを繋いでいく様子に感激していました。
常に声援も盛り上がって、参加者の方と学生ボランティアの垣根もなく合体して楽しんでいるので、審判している私たちも思わず応援していました。
年齢・男女等の区別もなく心から楽しんでいるのが手に取るように伝わって、審判しながら私たちも楽しませていただきました。
また、モントリオール五輪で活躍された皆様とお会いでき、矢野さんからも説明を受けながら、この活動を継続されていることに感銘いたしました。素敵な活動がこれからもずっと続いていきますよう、応援しております。差し入れしていただいた、お弁当もとても美味しかったです。
【異文化を舌で知る・ランチ】
今回のランチはベトナム料理。横浜にあるお店シクロから取り寄せました。高校生や大学生の中には初めてエスニック料理を口にする人もいます。文化を知るにはまずは食ですね。
3種類の中から選べます。
食事を配るのも高校生や大学生のボランティアの仕事です。



【感想】 ベトナムに興味を持つきっかけ
関東学院大学細谷ゼミ
菅江 陸斗
今年のアジアスポーツフェスタでは、「参加者である難民の方とコミュニケーションを取る」という目標を達成することができた。
去年のアジアスポーツフェスタでは、仕事の内容的にも難民の方と関わる機会が少なく、コミュニケーションを取ることが全くできなかった。しかし今年は、ベトナム人チームの人数が足りなかったため、チームに助っ人として入ってほしいと誘われ、ベトナム人の方々と一緒にバレーボールをプレーしたり、リレーをしたりする中で、多くのコミュニケーションを取ることができた。最初はただ一緒にプレーをしているだけだったが、競技の合間にはイベントに関係のない話題でも会話ができるようになり、最後には一緒に写真を撮って楽しむことができた。
また、たまたま荷物を置いている場所が一緒にプレーしていたベトナム人チームと同じだったため、昼食の時間には一緒にベトナム料理のお弁当を食べることになった。その時、自分が食べている料理がどのような料理なのかを尋ねたり、食べたことのない調味料について質問したりすると、とても丁寧に教えてくれた。自分の国のことを質問されるのはやはり嬉しいことなのだと感じた。昼食中に「この焼肉弁当おいしいね」と話したところ、「ベトナムの料理はタイなど他の東南アジアの国よりおいしいし、食べやすいよ」と教えてくれた。その言葉を聞いて、今は日本で生活していても、自分の国に誇りを持っているのだと感じた。「海外には行かないの? ベトナムは料理もおいしいしいいところだよ。遊びにきな」と言われ、ベトナムという国に興味を持つきっかけにもなった。
今年は自分自身もプレーや会話を通して積極的に参加できたことで、去年はできなかった異文化コミュニケーションを経験し、イベントの魅力をより深く感じることができた。相手の国について話題にすると、そこから多くの会話が広がるということに気づき、人と関わることの楽しさや大切さを改めて実感した。
【外国につながる子どもたちの国紹介】

ランチの後、ベトナムとラオスの子供たちが、自分たちがつながる国についてクイズ形式で発表してくれました。国の動物や伝統や産業について自分たちで調べた内容です。子供たちにとっても、またサポートをしてくれた大学生にとっても良い機会になりました。
50年前に祖父がボートピープルとして日本に来たことも紹介されました。
また、ミャンマーについても、普段私たちが知らないお話をうかがうことができました。
【感想】 50年前のボートピープルに思いをはせる
キララの教室 ボランティア(82歳)
瀬田恵子
昨年に続き、今年も2回目の応援部隊の一員として、このスポーツフェスタに参加させていただきました。今年で14回目と知り、長年に渡る主催者の皆様の熱意とご努力に、ただ頭の下がる思いが致しました。参加者の楽しげな姿とはりきる姿に、このフェスタが長く続いている意義を感じとることができました。
難民という言葉は、今まで漠然とは知っていたものの、長い年月を生きながら自分には直接関係のないどこか他人事のようにさえ感じていました。
私は、7年前から外国につながりのある児童・生徒に寄り添い学習支援や日本や地域で安心して生活できるようにサポートをしていくボランティアグループで活動させていただいています。
今年は、私たちのグループから 13 人の児童・生徒(ベトナム・ネパール・中国)が参加させていただきました。それぞれの子どもたちが生き生きと満面の笑みで全ての競技に参加できたことは、子どもたちにとって一生の思い出となり、素晴らしい自信と経験になったことと確信しています。応援席から惜しみない拍手を送らせていただきました。
今回改めて、私たちの関わる子どもたちの中には、祖父母の方々がボートピープルで幸運にも日本に辿り着き、苦労の末に今の生活を掴み取ったご家族もいることを知りました。一方最近は仕事を求めて日本に移住し、まだ1年前後の日本での生活を送っているという子どもとご家族がいます。初めての異国で、言葉も環境も食べ物さえ初体験という慣れない日々にどんなに戸惑い辛い思いを重ねているのかと心が痛みます。
「多文化共生社会」で生きる私たち日本人も、『国境を越えて理解と協力そして親睦の心を忘れずに多くの人たちと接していきたい。』とスポーツフェスタの体育館の高い観覧席から自戒をこめて強く感じた1日となりました。
これからも、このようなイベンドを通して、多国籍の人々との交流が長く続きますことを関係各位の皆様に感謝するとともに、これからも続いていくように応援していきたいと思っています。

小学低学年以下の子供たちは梅ちゃん先生(梅本耕孝)の指導で、運動遊びとボール遊び。
楽しくて面白くて、来年も又来るね!が合言葉になっていました。
【ネットボール模範試合と体験】
ネットボールは元大英帝国の国々の小中学校では必ずと言っていいほど行われているもので、バスケットボールの妹分とも言われています。守備や攻撃のゾーンが決められていることから体力的にも入門スポーツとしては最適です。かわいらしいワンピースを着て女子が行うことが多いのですが、今では老若男女誰でもできるスポーツとして親しまれ始めています。
日本代表の愛称は「つばきジャパン」です。そのメンバーに加えて対戦相手や審判も帯同して19人で参加してくれました。協会会長の多胡英子さんは群馬県安中市から選手を乗せたマイクロバスを自ら運転して横浜入り。疲れも見せず、ネットボールのルール解説をして普及に懸命です。
子どもたちも参加しての「初めてのネットボール体験会」。なかなかの盛り上がりを見せました。





ゴールにボールを入れるのは 皆 面白いんだね!


【感想】 様々な背景を持つ人が繋がっていく
明治学院大学社会学部社会福祉学科2年
上野 涼
今回、明治学院大学加藤ゼミとして初めて参加し、インタビュー隊として参加者へのインタビューを行いました。あらかじめコンタクトを取って行うインタビューとは違って、一人ひとりにその場で撮影許可を得てから行わなければならない難しさもありましたが、多くの方が快く協力してくださり、参加者のありのままの気持ちを伺うことができました。インタビューを通して、「お互いを知ろうとすることの大切さ」、そしてこの会がもたらす影響力に気付くことができました。
当日は、難民として日本に渡ってきた方、その2世・3世、留学生として日本に来た方、その支援をしている方、学生ボランティア、元オリンピック選手など様々な背景をもつ方々が1つの会場に集まり、この会を通して繋がっていく様子を肌で感じ、とても幸せな気持ちになりました。
バレーボールやネットボール、障害物リレーを通して、会場全体が笑顔であふれていくのを見て、スポーツのもつ力や温かみを実感しました。今後もこのように、日本人と外国にルーツを持つ方、また外国にルーツを持つ方同士が繋がる場が守られ、更には広がっていくことを願っています。今回学生ボランティアとしてこの会に携わる事ができ、とても光栄でした。
<インタビューは動画で紹介されます>
【歓声が響き渡る障害物エキデン】
2008年に第一回アジアスポーツフェスタを始めた時から大好評だった障害物駅伝。タスキをかけてリレーをするという日本スポーツ独自のスタイルを取り入れてチーム対抗としました。つながる国も年齢もバラバラなのに見事な連携プレーでタスキをつなぎます。声援が体育館に響き渡りました。
大声援の中、走る走る! 慌てずラケットにボールをのせて・・・


「かおなし」も登場!

大学の先生も走る!

年齢も国籍も性別も関係なし!




【お楽しみ表彰式】
ご提供いただいた賞品がバレーボール金メダリストたちからチームに手渡されます。


まるか食品(株)様 ペヤング 贅沢やきそば 蟹トマト味 360食

オタフクホールディングス(株)様
お好みソース300g 12個入りケース17個 好み焼 こだわりセット2人前12個入り17ケース

味の素(株)様 amino VITAL ami活ゼリー 150個

(公財)ミズノスポーツ振興財団様 クッキー5箱 帽子5点

旭化成プロダクツ(株)様 ジップロック、 スピズバ等

全国農業協同組合連合会 本所様 北限の桃グミ80個 ル レクチエグミ80個、完熟かぼすのグミ80個

(株)構造機能科学研究所様 アトピーにも効果のあるRIMソープ RIMソープハンディタイプ:24個
RIMソープ据置タイプ:4個 RIMエモール:4

公益財団法人日本バレーボール協会様 選手の缶バッチ、木札等

ネットボール協会様から安中せんべい
さらに、今回は個人の方などからいただいた賞品も多数ありました。

木下素子様から手芸品

CINGA様から横浜クッキー


賞品として配られる物+欲しいものを自分で取る 方式にしました。これは悩みどころ((笑)

【感想】 地球という惑星に生まれた人間
神奈川県立横浜国際高等学校1年
安積 柊
先日のアジアスポーツフェスタでは、多くの方々に大変お世話になりました。初めての参加でしたが、様々なバックグラウンドを持った方と直接お話しでき、とても貴重な経験となりました。
アジアスポーツフェスタ当日は、動画・インタビュー担当だったので、様々な国から難民として来日している方とお話する機会をいただきました。どの方も初対面にも関わらず、気さくにインタビューに答えてくださり、話していてとても有意義な時間だなと感じました。インタビューの中で、「アジアスポーツフェスタの意義は何だと考えますか?」尋ねると、インタビューを受けてくださった方の多くの方が「生まれた場所や住んでいる場所が違う人々が、一緒にスポーツをすることで、たとえ使用している言葉が違えども、一緒に笑いあったり、励まし合ったりできる素敵なイベントだと思う」と話していらっしゃったことが印象に残りました。たとえ自分と全く異なる環境や生活習慣であったとしても、相手の国を理解したい、尊重したいといった思いこそが多文化共生社会に繋がるのではないかと考えました。私たちは地球という惑星に生まれた人間であるため、色眼鏡で人を決めつけずに積極的にコミュニケーションをとることが文化や宗教の理解の手助けになるのだと思いました。
また、今回のアジアスポーツフェスタを通して、たとえ言葉が通じなかったとしても、身振り手振りや表情であっても感情を伝えあうことは可能であるということを学びました。多言語を学び、正しい文法で正確に相手に伝えることも勿論大切ですが、それよりも相手との交流を楽しみ、相手と心を通わせたいという思いの方が重要なのではないかと思います。日本にいるにも関わらず、多様な国で生まれた人々と同じ時間を共有できるこのイベントは、自分の価値観を広げてくれ、自分の成長や人生の豊かさを増やすことのできるものだと思いました。
私は将来、語学を極めそして自分の語学力を生かして、人と人とを繋ぐ架け橋のような仕事につきたいと考えています。この経験を生かして、相手のことを思う想像力を働かせて、人との出会いを大切にするひとでありたいです。改めて、私に数々の大切なことを教えてくれたこの素敵なイベントに出会えたことにとても感謝しております。ありがとうございました。








【感想】 抽象的な「社会問題」という概念から、具体的な「人間」という存在そのものへ
関東学院大学細谷ゼミ
リ ハイサン
ゼミの一員として、今回のアジアスポーツフェスタに参加する機会を得た。体育館に入った瞬間、目の前の光景に心を動かされた。大人も子供も楽しそうに笑い、様々な国の言葉が入り混じり、場全体が生き生きとした熱気に包まれていた。私はこのイベントで「仕分け」のグループに配属され、主に寄付された様々な物資を扱い、最終的にアジア各国からの難民の皆様に配る業務を担当した。一見地味なボランティア体験であったが、「支援」という言葉に対して、教科書の定義を超えた、全く新しい実感のある理解を得ることができた。
当日の朝、仕分けグループのメンバーは早くに集合し、最初の仕事である荷物の運搬を始めた。皆でリレー形式で倉庫からホールの裏手まで段ボール箱を運び、そこで開梱と仕分け作業に取りかかった。具体的には、誰かが段ボール箱を開け、誰かが例えばカップ麺などの物品を一つひとつ取り出してカゴの中に並べ、別の誰かがそれらを配布準備の整った状態に組み合わせていった。このプロセスは最初は繰り返しの多い機械的なものに感じられたが、作業の合間に、不思議な充実感がわき上がってきた。なぜなら、私たちが手にした一つ一つの品物が、全て必要な人の手に渡ると分かっていたからである。
正式なイベントが始まる前、主催者側が参加者とボランティア全員で準備運動を行った。リーダーが音楽に合わせて踊ったり、様々なゲームを進行したりするのを皆で追従した。同じグループのクラスメートと簡単なサルサを一緒に踊ることになった時、皆の不器用な動きに笑いが起こり、現場の雰囲気が一気に和んだ。その瞬間、国籍や立場の境界線が曖昧になり、誰もがただ「今」この瞬間を楽しんでいる一人の人間であった。
昼時になり、昼食を配ることが私たちの重要な任務となった。私たちは優先的に、イベントに参加した全ての家族や子供たちに食べ物が行き渡るようにし、皆が食べ始めてから、ようやくボランティア自身の分を受け取った。体育館の隅に座って食事を摂りながら場内を見渡すと、年齢も肌の色も異なる人々が、運動場で走り、ネットボールをし、遊んでいて、皆の顔に笑顔が溢れていた。
特に印象に残っている場面が二つある。一つは、ボランティアとねっとボールチームとの親善試合である。彼らの技術は明らかに上回っていたが、非常に忍耐強くプレイし、時折立ち止まっては、ジェスチャーや簡単な言葉で私たちに動き方やパスの出し方を教えてくれた。それは単なる試合ではなく、言葉を介さない交流と励ましの場であった。もう一つは、何人かのベトナムの子供たちが準備した自国紹介のクイズコーナーである。彼らは幾分照れくさそうながらも真剣にベトナムの風土や文化を紹介し、私たちは双方向のやり取りの中で、彼らの祖国の文化を、単なるニュースの中の名前ではなく、より生き生きとしたものとして知ることができた。
イベントが終盤に近づき、私たちが賞品であるお菓子や文房具を配布した時、彼ら、特に子供たちの顔に、嬉しそうで幾分恥ずかしそうな笑顔が広がるのを見て、一日中の疲れが全て報われたように感じた。自身の小さな努力が、確かに彼らの心に届く温かさへと変換されたのだと、明確に感じ取ることができた。
この体験を通して、私が配布したのは単なる「物品」ではなく、一つの思いやり、一つの支援そのものであると強く認識した。スポーツには不思議な力がある。言語や文化、国の垣根を超越し、人々を自然に集結させ、共通の体験を通じて交流を促し、笑顔と活力を蘇らせる。この経験は、「多文化共生」について、より具体的に考察する契機となった。共生とは、単に同じ空の下で生活を共にするということではなく、今日のように共に笑い、相互理解を得られる「場所」と「機会」を創出することであると考える。真の支援とは、提供する物資の価値の大小にあるのではなく、その行為が真の尊敬と共感を伴っているかどうか、心と心との間に平等な橋梁を架構できるかどうかにあるのだろう。 このボランティア活動は、ささやかな行動にも巨大な力が内在していることを体感させてくれた。それは、抽象的な「社会問題」という概念から、具体的な「人間」という存在そのものへと、私の視座を回帰させてくれた。今後の学習においては、より「人間」の視点から社会問題を理解し、考察を深めていきたいと考える。最後に、この貴重な学びの機会を提供してくださった先生方、イベントの主催者並びに関係者の皆様、そして共に汗を流した仲間たちに、心より感謝の意を表したい。誠に貴重な経験であった。







【感想】 “相手を理解しようと歩み寄る”という個人の姿勢
神奈川県立横浜国際高等学校 2年
松崎 羽奏
私は現在、横浜国際高校のインターアクト部の活動として、ユニクロやGUを手掛ける株式会社ファーストリテイリングが行う“届けよう、服のチカラ”プロジェクトに参加しています。これは、難民の子どもたちに子ども服を届ける取り組みであり、横浜国際高校や近隣の小学校に通う生徒・児童へ呼びかけ、子ども服の回収や仕分けを行いました。迷彩柄やドクロといった戦争を想起させるデザインが描かれていないかを確認するなどの作業を通して、難民の方々の生活環境や、私たちにできる支援の形について深く考えるようになりました。しかし、実際に難民の方々と直接関わることができていなかったため、アジアスポーツフェスタでのボランティア活動は、難民の方々と交流する貴重な機会になると考え、参加することを決めました。
高校生ボランティアとして、私は景品や参加賞の仕分け、お弁当の受け渡しといった運営補助業務を担当しました。同じ高校の生徒だけでなく、他校の生徒とも連携して作業を進める中で、ボランティア活動に対する多様な考え方や熱意に触れ、活動へのモチベーションを一層高めることができました。
また、活動の中で特に印象に残っているのは、会場で母親とはぐれてしまった参加者の難民の子どもと出会った場面です。私は英語で会話を試みながら、一緒に母親を探しました。最初は不安そうに俯き、私の手を強く握っていた女の子でしたが、好きなものやイベントで楽しかったことを尋ねていくうちに、次第に表情が和らぎ、笑顔を見せてくれるようになりました。言葉や文化が異なっても、相手を思う気持ちは確かに伝わるのだと実感し、大きな喜びを感じました。
これらの経験を通して、私は“多文化共生”とは、国や文化の違いを尊重するという大きな枠組みを土台としつつも、“相手を理解しようと歩み寄る”という個人の姿勢から始まるものだと考えるようになりました。今後は、互いの違いを尊重し、協働できる社会を築くために努力を重ねていきたいと思います。そして、国際社会に貢献できる人になれるよう、今回の活動から学んだ“理解し、寄り添う力”を胸に、一人ひとりと誠実に向き合っていきます。





【感想】 「楽しい」の連続
明治学院大学社会福祉学科2年
末野 愛奈
私は今回初めてアジアスポーツフェスタに参加しました。フィールドワークの授業内で先生の方から紹介があり、そこで初めてアジアスポーツフェスタという存在を知りました。
当日は外国にルーツのある方たちと一緒にバレーボールに取り組みました。イベントに参加することが初めてという事で最初は上手くコミュニケーションが取れるかなどの緊張や少しの不安がありました。しかしその不安はすぐに消えました。チームが決まり顔合わせをすると
「何年生?」「若いね!」など積極的に声をかけてくださいました。緊張していた私にかけられたそれらの気さくな言葉はとても温かいものでした。それからは「楽しい」の連続でした。顔合わせが終わりバレーボールの練習になると互いに声をかけ合い和気あいあいとした雰囲気で練習をしました。実際の試合ではチームのみんなで協力し、優勝することができました。そんな試合の中で私が特に印象に残ったのは一つ一つのプレーに対してみんなで喜びみんなで励まし合うということです。何かいいプレーがあればみんなでハイタッチをして声をかける、ミスをしてもみんなで励まし合い気合いを入れる。これらの行動は率直に嬉しかったしなにより絆が深まったのを感じました。
また障害物競走では性別、年齢、出身など問わずみんなが一生懸命に取り組みとても白熱しました。私自身も大きな声で応援し精一杯走りました!中には走りが得意じゃない人もいたと思います。それでもチームに関係なく会場全体で応援する、盛り上がるそのような空気が流れていました。
スポーツ以外ではたくさんの文化に触れることができました。お昼のお弁当はベトナムの料理を用意していただきました。普段はあまり食べる機会がなく、楽しみにしていました。私は揚げ春巻きのお弁当を頂いたのですがとても美味しかったです!子どもたちと学生による発表ではそれぞれの国の位置やその国に関する知識を教えてもらいました。子どもたちがとても愛らしかったのと同時にその国にルーツのある子どもたちから直接教えてもらうということに意味を感じました。朝から活動していましたが1日はあっという間に感じました。終わったあとに率直に出てきたのは「楽しかったな」という気持ちでした。
参加者のみなさんも朝体育館に入ってくる時には今日は楽しむぞ!という表情が見受けられました。その時このイベントは多くの人の楽しみになっているんだとわかりました。また子どもたちには帰り際に「来年も来てね!」と言われました。これは子どもたちにとってこのイベントは来年もある、この先もずっと1年に1度の楽しみであるという事なのだと思いました。
1日を通して私は多くのことを学びました。スポーツのすごさ、感情を共有できることの喜び、言葉でなくても表情や仕草だけでもコミュニケーションは取れるということ、共通点が1つもなくたって仲良くなれるということ。これらは普段の授業ではなく今回このイベントに参加したからこそ気づけたことだと思います。初めての参加でしたがアジアスポーツフェスタに参加できたこと嬉しく思います。このイベントが末永く続き多くの人が参加できることを願っています。ありがとうございました!






27センチのシューズを履ける人に白井さんからプレゼント


【感想】 金メダリストたちから
*横山樹理(現姓西川)
皆さんが楽しそうにプレーしている姿を見るのがうれしいです。
今回は股関節にて思うように動けませんでしたが、次回までには完治させ、皆様にお会いできることを楽しみにしております。
このイベントが長く続く事を頼っております。
*岡本真理子(現姓中野)
スポーツを通して感動と感謝で終了し、正に異文化交流の素晴らしさを体感しました。
私たちメダリストがお役に立て嬉しく思います。5歳から80歳代までが汗を流し、温かい出会いと絆が生まれていました。参加者がひたむきに努力し挑戦する姿はスポーツを通してのかけがえのない成長でもあると思います。私自身は癌で体力は落ちましたが、これからもお役に立てる事が一番の薬。来年も皆さんのお役に立てることを楽しみにしています。
*飯田高子(現姓神白)
横浜市平沼記念体育館にモントリオール五輪女子バレーボール金メダリスト有志が参加。
九州から横山、大阪から岡本、名古屋から金坂、山梨から矢野、東京から高柳、埼玉からは白井と飯田のメンバー。
私、飯用は80歳を前にしておりますが、気持ちは若い参加者に負けないとの思いで、健康でいる今、少してもお役に立てばいいで参加いたしました。お声掛けに感謝しております。
サルサダンスレッスンウォーミングアップから始まり、アリーナいっぱいに参加者が広楽しく軽やかに体を動かし、いい汗を流している姿が印象的でした。
企画のメインでーあるバレーボールは、ボールを床に落さない、つなぎのプレーが肝心ということで、初めての人達もお互い助け合いながら相手コートに攻める、まさに楽しくボールを追いかけながらのゲームでした。各コートでは大声を張り上げ動き廻っていました。 来年に繋がる良い多文化共生ですね。
昼食はベトナム料理、現役遠征時代の遠征を思い出しながら美味しく頂載いたしました。ご馳走様でした。
午後からはバスケットボールにも似たネットボール。両リング前には長者が陣取ります。
普段見てバスケットボールとの違いを学ぶ良い機会でした。初めての子どもたちも初め手の体験にもかかわらず楽しそうに走り廻り、シュートするたびに拍手喝采でした。
フェスタ最後の障害物リレー。必死に走りタスキを次の走者に渡す順位争いを楽しく応援しました。
閉会式では多くの協賛品を順位ごとに渡され、皆さん大喜びで時間が過ぎるのも忘れるくらい夢中に。
外は10月末でいつしか真っ暗になっていました。参加者のありがとう、ありがとう、会えて嬉しかった!そんな言葉で体育館をあとにしました!

最後はアジアスポーツフェスタ2025実行委員会の羽入田眞一会長(横浜国際高校初代校長)の締めの言葉で終了しました。

留学生も含めた在留外国人数は、約396万人といわれています。外国の文化につながりのある日本人を含めればその数はさらに増えることでしょう。私たちは互いの違いを認めあい、共に協力しあう社会に生きています。アジアスポーツフェスタの体験が、多文化共生の理解と学びにつながればうれしく思います。
アジアスポーツフェスタ2025実行委員会会長 (横浜国際高校初代校長)羽入田 眞一
*************************************
ここまでお読みいただきありがとうございました。
2008年、第一回のアジアスポーツフェスタは、横浜国際高校が設立された年に、羽入田校長の元、NPO法人バレーボール・モントリオール会の主催で行われました。それから17年が経過し、主催団体は変わりましたが、参加者の中には初期からのなじみの人も多くいます。ベトナム、ラオス、カンボジアと言っていた区別さえ今では必要ないほどです。
排外主義者が声を大きくしつつある時代の中で、国籍や年齢、ジェンダーの枠を超えて、みんなで協力しあいながら、楽しみを分かち合うことができる経験はとても貴重です。若い人たちにとって、アジアスポーツフェスタでの体験がこれからの人生の一つの礎となっていくことを願っています。
報告書編集責任者 アジアスポーツフェスタプロデューサー スポーツ文化ジャーナリスト (一社)カルティベータ代表理事 宮嶋泰子




