アジアスポーツフェスタ2022 3年ぶりの開催。無事終了!! 末尾に動画配信あります。
3年ぶりの開催
雲一つない青空に恵まれました。
2022年10月23日、朝8時過ぎから、神奈川県立横浜国際高校に集まり始めた面々の懐かしい顔。お互いに久しぶりと挨拶する人々もいました。1970年代から80年代にかけてベトナム、ラオス、カンボジア等インドシナからの難民として日本にやってきた人たちです。2008年に始まったアジアスポーツフェスタですが、コロナ禍による中断を経て3年ぶりの開催となりました。
参加者とサポートメンバー
コロナ禍の中でのイベントとあり、主催する方も参加する方もまさに手探り状態でした。これまで多くの参加者を送り込んでくれていた横浜市泉区のいちょう団地でコロナのクラスター発生があったことと、参加人数に制限を設けたこともあり、参加者の人数は例年の三分の一程度でした。しかし参加者には第一回からの連続参加の方もおり、あちらこちらで「久しぶり!」と挨拶する姿が見られました。カンボジアとベトナムなどかつては銃口を向け合った国の出身者同士とはとても思えないにこやかに打ち解けている光景が見られました。40年以上にわたり多くの難民のお世話をなさって来た志賀ツヤコさんが個別にお声がけくださったおかげで、これだけのメンバーが集ったと思っています。
さて、サポートする側にとっても3年ぶりのイベントです。横浜国際高校のボランティア部を中心とした生徒、関東学院大学細谷ゼミの学生、インカレ優勝の東海大学女子バレー部の選手にとっても久々に体験するリアルなイベントでした。さらに横浜市南区さわやかスポーツ、横浜市スポーツ推進委員、さらにはいつも医療スタッフとして参加してくださる内山健さん、元横浜国際高校体育科橋本一光教諭もお手伝いに来てくださり、懐かしい顔がそろいました。
準備運動を担当してくださったのはNPO法人全国ラジオ体操連盟から来てくださったNHKラジオテレビ体操の指導者、岡本美佳さんです。これに1976年のモントリオール五輪女子バレー金メダリストのセッターで名古屋からいらしてくださった金坂(現姓田中)克子さん、山梨から駆け付けてくださったセンタープレイヤー矢野(現姓池田)広美さん、そして「監督が怒ってはいけない試合」を普及している元全日本の益子直美さんが加わってくださり、豪華なサポート陣となりました。その他フリーランスで奥本浩平さん、フォトグラファーのYO NAGAYA さん、松本良雄さん等、多くの方が手伝ってくださいました。
ラオス出身3名
ベトナム出身13人
カンボジア出身10人
横浜国際高校ボランティア部他、21名 品田教諭、北爪教諭
関東学院大学細谷ゼミ生 38人 細谷教授
東海大学女子バレーボール部 7人
横浜市南区さわやかスポーツ 4人
横浜市スポーツ推進委員連絡協議会10名
フリー他、カルティベータ関連11人
主催者の変更とイベントの目的
これまでこのイベントは、NPO法人バレーボールモントリオール会が主催してきましたが、この法人が解散したため、今回から一般社団法人カルティベータが受け継ぐこととなりました。カルティベータの代表理事宮嶋泰子がこれまでアジアスポーツフェスタの運営を担当していたこともあり、継続を決意した経緯があります。
ただ、今回はコロナの影響で、神奈川県教育委員会の規約に則って学校内では飲食禁止となったことから、これまでの様に午前午後の2部構成ではなく、9時から13時までのイベントとなりました。よって参加者とボランティアスタッフ全員にランチをお土産としてお渡しすることとなりました。
また、VUCAの時代に入ったこともあり、若者が主体的に考え作業をすることの大切さを重視し、過去主催者が行っていた準備作業の多くを大学生や高校生に任せました。例えば参加者募集についてのチラシ制作やWeb申し込み等、大会当日のポスター制作や、賞品チェックなどは大学生や高校生が担当しました。
また、このイベントでは2008年から少しでも多くの人たちに日本にいる難民の存在を知ってもらうことと、さらには滞在難民同士の親睦も目的としてきました。今回はこれに加え、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ウクライナから避難してきたバレリア・ツジさんのお話を聞く機会も設けました。高校生や大学生のサポートスタッフに戦争や難民について深く考える機会を持ってもらい、人の気持ちに寄り添うことや共感することの大切さを感じ取ってほしいという狙いがありました。
コロナ対策
これまでと全く異なるのが受付での様子でした。参加者にもサポートする人たちもにも全員にコロナ対策として、事前のPCRテストか現場での抗原検査を義務付けました。事前にPCRテストを受けてきた人は、携帯のメール画面を見せてチェックイン。その場で抗原検査を行う人は、現場で説明を受けながらの作業でしたが、幸いコロナ罹患者はゼロという状況でイベントに望むことができました。
スケジュール
7時からスタッフ準備
8時から受け付け、抗原テスト
9時からの開会式、そして準備体操、スタッフ紹介
9時20分からバレーボールの練習
9時35分から試合 女子はバドミントンネット使用。男子はバレーボールネット使用。
11時30分から障害物リレー
12時からウクライナからの避難民ヴァレリア・ツジさんのお話
12時30分から表彰式と賞品授与式
賞品のご提供やご寄付
今回も多くの企業や個人の方から賞品のご提供やご寄付をいただきました。ご協力に深く感謝いたします。
賞品のご提供
★まるか食品株式会社様
★旭化成ホームプロダクツ様
★株式会社ミカサ様
★味の素株式会社様
★久光製薬株式会社東京支社様
★公益財団法人日本バレーボール協会
★東京都庁様
★サントリー様
★ニチバン株式会社様
★国土防災技術株式会社様
★テレビ朝日様
個人からのご寄付
★濵名美代子様
★谷岡理香様
★赤羽綾子様
★鰐川せりな様
★多胡英子様
★金井由明様
★中根弓佳様
★手島夏絵様
★斎藤英樹様
★田中賢治様
★矢野広美様
★内山健様
★賞品提供協力サポーター荒木田裕子様
★賞品提供協力サポーター宇津木妙子様
★賞品提供協力サポーター奥本浩平様
参加者の声
カンボジア出身 中村賢志
とても楽しかったです。何より他の国の人と一緒にできるのが印象的でした。それだけではなく商品と景品がいっぱいあり感謝しています。おかげさまで元オリンピック代表選手ともお会いできとても貴重な経験でした。また機会がありましたら宜しくお願いいたします。
カンボジア出身 西村OL
バレーボールはとっても楽しいです。プレゼントもたくさんあり、子供たちすごく喜びました。また来年も宜しくお願いいたします。
សូមថ្លែលអំណរអរគុណ សប្បាយ ៗ ៗ ណាស់
ベトナム出身 美島とおる
先日はお疲れ様でした。コロナで今年も難しいと思っていましたが、開催できた事に感謝しかありません。一部の地域でクラスターが発生し参加人数は例年と比べ、減少してしまったのは残念でした。
バレーボールの試合は通常の(大きい)コートで出来たのは良かったです。例年では少し狭いバドミントンのコートで試合をして、決勝戦のみ通常コートだったので、常に決勝ラウンドで試合をしている気持ちでした。
参加人数は減少しましたが、バレーボールの試合時も障害物リレー時も、例年と同じなのは皆さんの笑顔が溢れていた事が何よりも印象的でした。
来年は多数の方の参加、ご当地のランチとコロナ前の状況に戻れるといいですね。多国籍の方々が集い、楽しめるイベントはあまりないので、今後も続いていけることを願います。
ベトナム出身 熊澤 岬
過去何年も参加させて頂きましたが、コロナ禍で2年も開催されず今回3年ぶりの開催がされるという事で待ちに待ってました!
人数制限があり例年に比べると少ない人数ではありましたが、以前アジアスポーツフェスタの交流で知り合った方々に久々に会うこともできてとても嬉しかったです。
バレーボール、障害物リレーは学生さんも混じれての交流で楽しくスポーツができました。
後半では ウクライナから避難された方の話を聞き とても心が締め付けられる思いでした。一刻も以前のような生活が戻る事を願うばかりです。 また来年も開催できる事を楽しみにしています。
サポートスタッフの高校生や大学生の声
横浜国際高校1年 畠山絆
アジアスポーツフェスタではお世話になりました。
様々な出身地の方がYISにいらっしゃるということで、海外出身の方の日本生活はどの様に見えているのか話を聞きたいと思い参加しました。当日はスポーツを通したコミュニケーションの可能性と世界の現状について知ることができました。
ウクライナの現状を伝えてくださったバレリアさんの講演で、避難する際に言語の壁が大きな障害になると伺いました。国際的な勉強をする高校生として何か出来ることはないかと考えるきっかけになりました。
横浜国際高校2年 内田
こんにちは。ボランティア部部長の内田です。この度はアジアスポーツフェスタありがとうございました。外部との関わる行事が初めてだったので、私たちボランティア部にとっていい経験となりました。普段はペットボトルキャップ洗いやコンタクトレンズの回収など地道な作業をしているのですが、企画のサポートすることによってボランティアという形を初めて実感できました。サポートのみの役割の予定でしたが、私たちも参加することができて、よりいい思い出となりました。バレーボールは男女で分かれて多くのチームと対戦することでチームそれぞれの色がでていて見ている側としても参加する側としてもとても盛り上がっていた印象でした。何より私はウクライナ難民の方のお話を聞くことができてとてもいい経験になりました。現地では、戦争が始まったことを日本よりも後に知ったということをとても驚きました。この機会以降、ニュースで見るウクライナ情勢が他人事ではなくとても身近な出来事なんだと感じました。当日まであまり時間がなく、大学生の方々に多くの準備を任せてしまったかもしれません。もし来年も開催するようでしたら、私たちにできることがもっとあるかもしれないので色々事前から準備したいと思います。
また機会があれば来年もよろしくお願いします。
「バレリアさんのお話を聞いて感じたこと、考えたこと」
関東学院大学細谷ゼミ生(中国からの留学生)
バレリアさんは強いと思う。来たばかりの頃は日本語を勉強して仕事をするのは大変だったに違いない。
最後に政治と文化について言えば、私は政治と文化は関係ないことに賛成する。(さすがに中国も日本も戦争をしたことがありますが、出会った日本人はみんないいと思いますし、日本の文化も面白いので、日本に留学に来ました。)
政府の行動で国民と文化の善し悪しを判断してはならない。プーチンが戦争を始めたからといって、すべてのロシア人が戦争に熱中しているわけではない。ウクライナの人々がかわいそうだし、ウクライナに悪人がいないとは言えない。人間性は複雑で、ましてや国である。
だから、文化と政治は別だと思う。このように言うと立場がなさそうに見えるかもしれませんが、傍観者の身分でこそ、客観的に問題を見ることができると思う。
私が調べた資料によると、ウクライナでは16万人以上の難民が故郷を離れ、地下室、防空壕、地下鉄駅、地下駐車場などに避難している人がもっと多いという。ロシア株式市場は40%急落したが、現在のロシアのインフレ率は10%、ルーブルは60%下落した。ロシアは同時に他の国に制裁された。ロシアの人々の生活はますます悪くなることが予想される。
戦争が始まれば、両国の人々は苦労するだろう。両国の人民も両国の文化も間違っていない。間違っているのは戦争を挑発した政治家だ。戦争が教えてくれたのは、どの国がいいのか、どの国が悪いのかではないと思います。平和の大切さをよりよく認識させるべきだ。
「バレリアさんのお話を聞いて」
関東学院大学細谷ゼミ生
バレリアさんのお話を聞いて、ロシアのウクライナ侵攻について客観的な情報だけではなく、当事者の方からウクライナの状況を知ることができて、今まで漠然としていたウクライナ問題についてリアルに感じ、自分達がニュースなどでみているのはほんの一部分であり、ウクライナの方々は私たちが想像している何百倍も大変な思いをされているのだと実感した。特に、バレリアさんがフランスに避難した時に、働くところを見つけることがとても困難であったというお話が印象に残った。日本にも何人ものウクライナの方が避難されてきたが、言葉の壁によって就職先が見つからなく、不安な思いをされている方々が多いのではないかと思った。ロシアによるウクライナ侵攻は、まだ終わりが見えない為、長期が予想されるだろう。そのため、日本で避難民の方が経済的にも自立して安心した生活を送ることができるように衣食住の支援はもちろんだが、加えて就労支援も強化する必要があると考えた。そのためには、避難民にとっても企業にとっても大きな不安要素である言語の壁の対策も必要となってくるだろう。例えば、避難民には無料で日本語学習の機会を提供したり、企業側には翻訳機を寄附するなどの外国人労働者にとって働きやすい環境づくりが必要ではないかと考えた。
また、お話の中でウクライナ問題はロシア政府が悪いのか、それとも国民も悪いのかという話題で、少し話がヒートアップして不安に思った瞬間があった。しかし、ロシア人を友人に持つ日本人・ウクライナ人、様々な立場からの意見を聞けたことで、見方によってそのような考え方もできるのかと自分自身も問題に関して考え直す機会となった。私は政府だけが悪いという考えでいたがバレリアさんの国民にも責任があるという意見を聞き、ロシアは民主主義であるためシステム上、国民がプーチンの政策案に賛成し投票したことで大統領に決まったわけだから国民にも責任があるという考え方も確かに間違ってはいないように考えた。しかし、ロシア国民の中にはロシア政府の行動に不信感を抱き他国に逃げたり、リスクがありながらも抗議の声を上げたりしている国民もいるため、国民全員がプーチンの政策に同意しているとも言い切れない。私には、両方の意見も理解できるため、今はどちらが正しくてどちらが悪いと言い切ることは難しいように思った。
私は正直なところ、バレリアさんのお話を聞くまで、ウクライナ問題についてどこか他人事のように思っていた。しかし、ウクライナ国内の状況や避難の実態、就労状況を聞きこの問題に対して当事者意識を持ち、改めて考えなおさなければいけないと思った。私は生まれてからずっと日本に住んでいて何不自由なく平和に暮らしてきたけれど、この先日本もウクライナのように他国に侵略され平和が脅かされることがあるかもしれないし、逆に他国に攻め入る立場になることもあるかもしれない。そうならないためにも、これからは国際情勢に対して他人事に思うのではなく自分自身の問題でもあることを認識することで問題について危機感を持ち、日本・私はどう行動することが必要なのか考えていきたいと思う。
結びに主催者から
アジアスポーツフェスタ総合プロデューサ
一般社団法人カルティベータ代表理事
宮嶋 泰子
コロナ罹患者が減少してきた時期とはいえ、まだ心配がないわけではない中、3年ぶりに開催できたことの意義は大きかったと思います。コロナで自宅に籠る時間が多かっただけに、自分のことだけを考えていれば済む日常がありました。そんな中、ベトナム・ラオス・カンボジアと、かつて互いに銃口を向け合った国の人々が共に楽しむ時間を持つことによって、平和の大切さを改めて感じることができた事は大きな意味を持っています。心の視野が再び広がってきたような思いでした。
何よりも、参加を決意してくださった皆さんに心からありがとうと申し上げたいです。さらに今回はウクライナから避難してこられたバレリアさんが2時間をかけて来てくださったことで、直接お話を伺うことができました。戦争が人々の生活と心を破壊していく事、戦争は絵空事でないことが若い世代にもわかってもらえたのではないかと思っています。
神奈川県立横浜国際高校の前身である県立外語短大付属高校を卒業した縁でこのようなイベントを2008年に立ち上げここまでやってきましたが、12回目のアジアスポーツフェスタを行うことに賛同してくださった横浜国際高校の本郷校長、さらには制約のある中、こまごまとした調整を行ってくださった唐川副校長にお礼を申し上げます。
同じ高校を卒業したことで今回もご協力くださった関東学院大学の細谷早里教授には深く感謝申し上げます。また細谷ゼミの学生の若い発想と行動にも大いに助けられました。さらには私の後輩にあたる高校生たちの自主的な行動を見ながら、18歳で成人になる社会の中で自ら判断する力を着々と付けていることを頼もしく感じておりました。連絡役の高橋杏奈さんはじめとしたボランティア部の皆さんのフットワークの軽さは見事でした。いずれも若者に無形のバトンが渡されていることが感じられる時間でした。
賞品のご提供やご寄付をくださった方をはじめとし、多くの方のお力添えがあって可能となったこのイベントです。改めてご協力くださった全ての方に、深く深くお礼を申し上げて纏めとさせていただきます。
なお、当日の模様は動画でアップしております。
写真で振り返るバージョンと、動画撮影のバージョン2種類が出てまいります。ご確認いただければと存じます。
では、また来年会いましょう。
アジアスポーツフェスタ2022
主催:一般社団法人カルティベータ
共催:神奈川県立横浜国際高校
特別協力:関東学院大学細谷ゼミ
協力:池田(旧姓矢野)広美
田中(旧姓金坂)克子
益子直美
東海大学女子バレーボール部
横浜市南区さわやかスポーツ
横浜市スポー素推進連絡協議会
NPO法人全国ラジオ体操連盟
奥本浩平
内山健吾
志賀ツヤ子
滝澤龍
美島とおる
西村オール
プンサワット・シー
以上
動画配信
当日の模様は以下のYouTubeからご覧いただけます。
その1:動画での記録
その2:フォトグラファー、Yo NAGAYAさんの写真をまとめたものです。
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