柔道の未来のために ~柔道の安全指導~ ハインリッヒの法則を知っていますか?
「柔道の未来のために」という「柔道の安全指導」の手引きの改訂版ができました。コロナの影響で活動がストップしている今こそ、指導者の方には目を通していただきたい冊子です。
こんな時期だからこそ指導の復習を!
「柔道の未来のために」という「柔道の安全指導」の手引きの改訂版ができました。これは2006年に初版が発刊され、その後数年おきに見直しがされて、現在第5版となっています。
今年はコロナで部活や体育の授業もストップですが、こういう時期だからこそ、指導者の皆さんには是非目を通していただきたい本です。武道とダンスが平成20年から必修化となりましたが、柔道に関しては、まだまだ戸惑っている学校の先生方、さらには道場の指導者の方もいらっしゃることと思います。この機会に是非、目を通してみてください。
この本の中で私が大切だと思ったことは二つあります。
柔道の事故は中1、高1で多発。それも春から夏にかけて。
一つは受け身の指導について。
柔道の事故と言うのは、春から夏にかけて集中して起きています。
また、事故を年代別にみると中学一年生と高校1年生が圧倒的に多くなっています。
新しい環境になって、4月に柔道を始める子供達がまだ受け身が十分にできない時期、また柔道を初めて指導する教員たちが迷いながら教えている時期、事故が多発しているのです。
この本の3ページ目に「正しい受け身、未熟な受け身」とあり、図解が掲載されています。これを見ると非常にわかりやすいです。
ハインリッヒの法則を知っていますか?
そしてもう一つ私が注目したのは「ハインリッヒの法則」と言われるものです。
「事故要因と発生のメカニズム」と言う項目で、本文には次のように書かれています。
「事故は偶然に漫然と起こることは少ないものです。1件の重大事故の陰に29件の軽い・小さな事故があり、さらにその陰には怪我や事故にはいたらないが、ハッとしたり、ヒヤッとしたりすることが300件あるとも言われています。(ハインリッヒの法則)
事故は起こるべくして起こるとも考えられています。軽い・小さな事故にいたらない隠れた危険を軽視したり見落としたりしないことです。」
なるほど、そう考えるとうなずける面がありますね。
冊子の構成
この本の構成は以下の通りです。
1部:柔道事故と対応
1:頭部のケガ
2:頸部のケガ
3:熱中症
4:心疾患
5:骨折・脱臼・捻挫
6:救急処置
7:傷害補償と損害賠償による補償・救済
2部:事故防止のための指導上の配慮
1:事故要因と発生のメカニズム
2:指導者の責任と安全配慮義務
3:練習計画の立て方
4:練習の行い方
5:指導対象に応じた配慮
6:健康管理
資料編
初心者の練習プログラムなども書かれており、指導者にとっては必携の書と感じました。
この冊子を手に入れる方法
発行部数は30,000部で、各都道府県、スポーツ庁、文科、全国約9,800ヶ所の道場、スポ少などの団体に、全日本柔道連盟広報誌まいんど23号に同封して配布しているとのこと。
全国の中学校に関しては、47都道府県+政令指定都市20=67の教育委員会に3冊配布だそうです。
⇒特に、中学校の部活動外部講師、柔道を専門としない保健体育教師への活用を依頼しているとのことです。
全国中学校~10,270校には、スポーツ庁(保健体育指導課)を通じて、全柔連ホームページからダウンロードするように依頼しています。
(https://www.judo.or.jp/…/upl…/2020/02/anzen-shido-2020-5.pdf)
今後は指導者の養成講習会、更新講習会でも配布予定だそうです。
柔道関係者の皆様、この機会に改めて魅力ある柔道指導を行ってまいりましょう。