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2020.11.25
スポーツ・芸術・文化 世界の国から

ハンガリーのコロナ対策とサッカー

ハンガリーの

11月24日現在,ハンガリーにおける新型コロナウイルス感染者数は133,853人となっています。累計感染者数181,881人(前日比+3,929)回復者数44,020人(前日比+681),死者数4,008人(前日比+117)

サッカーに熱狂するハンガリー人はコロナも恐れない?!


11月に入り、ハンガリーでは新型コロナウイルスの拡大が激しく、11日より30日間、追加制限措置が行われています。その中に、今まで優遇されていたサッカーの大会も含まれています。

実は、サッカーはまだ他のスポーツが自粛している段階の5月に他に先駆けて試合が開催されました。無観客で始まった国内リーグでしたが、なぜか与党政治家、与党寄りの起業家やその家族の姿も見られ、さらには一緒に観戦していたのが元代表選手という具合。彼らがソーシャルディスタンスも取らず、マスクなしで観戦しているところが撮影されてニュースになっていました。

その後、人数規制はあったものの、サッカーでは観客の入場が認められましたが、同じ屋外で行われるコンサートは開催許可は出ませんでした。政府報道官は「コンサートでは酒類が販売される。」からと言っていましたが、皆は首をかしげるばかり。この国ではサッカーが全て特別に優遇されるのです。

観客の入場が許されたサッカー会場では、マスクもせず距離も取らない観客が多くいました。特に、ゴール裏の応援団はひどいもので、マスクなし距離なし、当然大声で観戦するわけで、現在の感染者急増に無関係とはいえないと思います。

本来、マスクなしの段階で罰金の対象となりますが、サッカーファンの集団に対してはお咎めなし、見て見ぬふり、やはり特別扱いなのです。

例えば、このコロナ禍の中で、ヨーロッパチャンピオンズリーグでは、ほとんどの国での試合が無観客で行われたのに対し、唯一ハンガリーのみ観客の入場が認められていました。これも首相がサッカー好きだからでしょうか。国民はジョークで「フェレンツワーロシュ(ブダペストのチーム)が敗退したら無観客試合になるよ。」と言っていましたが、さすがにここにきて感染者が急増する中、サッカーも特別扱いは出来ないようで、次回のチャンピオンズリーグでFCバルセロナがやってくるときには無観客試合となることが決まっています。

高齢者専用の買い物時間帯が決められているハンガリーのコロナ対策

店舗での買い物に制限を設けているのがハンガリーの特徴の一つかもしれません。

本日11月23日、オルバーン首相は自身のフェースブックで、65歳以上の方のための買い物時間を指定すると発表しました。具体的には、平日は午前9時から午前11時まで、週末は午前8時から午前10時まで、65歳以上の方のみ店に買い物に行くことができるようになります。 なお、65歳以上の方は上記時間帯以外にも店に買い物に行くことはできます。

この時間制限は、コロナに罹患すると重症化しやすい高齢者のために、高齢者だけが買い物ができる特別な時間帯を作ろうというもので、無症状のコロナ感染者等と接触をしなくても済むようにしたものです。なかなか良い方策だと思います。

しかし、店舗での買い物は家族で1人に制限されていますので、高齢者にとっては「これはつらい」という声も聴かれます。

確かにこれまで老夫婦がスーパーまでの道のりを支えあって歩き、二人でお互いを気遣いながら買い物をしている光景をよく見かけました。しかし、それが出来なくなり、不安そうに買い物をしている高齢者の姿を多く見受けるようになり、こちらも胸が痛みます。

店舗は夜7時までの営業。会社帰りの駆け込み客で、スーパーの駐車場に車が入りきれないところもあります。しかし、前回春のように、デマによっての買い占めは無いようです。

春の新型コロナウイルス拡大の時には、市場の青果店が普段はやっていないデリバリーを行うという光景も見受けられました。スーパーマーケットからの配達を依頼した人が多かったのですが、ひどい時には数週間待ちというのもあり、苦情がかなり出ていました。今回はそのようなことのないことを望みます。

その他のコロナ対策は・・・

その他、今回の追加された制限措置には、夜8時から朝の5時まで外出禁止があります。犬の散歩は自宅から半径500m以内。

人口1万人以上の市町村では、外出時マスク着用が義務とのことですが、1万人以下のところでは行政のトップが判断するとのことで義務化された街、されていない街があります。義務化の街も公園や緑地ではマスクは外して良いようです。

店舗内、ショッピングモールへの入場ももちろんマスクが義務化されています。交通機関もマスク着用は義務で、マスクなしは罰金も伴います。マスクが無く、そのマスクを購入したく薬局に入りたくともマスクなしでは中に入れてもらえない。この場合はどうなるのでしょう。

レストランは営業禁止、デリバリーのみとなります。ホテルは、旅行者の宿泊禁止、ビジネス客のみ宿泊可能です。ホテルには、追加制限期間中は予約の80%の補償金がでます。しかし、我々、観光ガイドにはなにも補償はありません。

学校は・・・

教育分野でも、かなり前から教職員が感染をしており、学校閉鎖の必要性が話題に上っていました。11日から高校はオンライン授業、小学校や中学校ではしばらくは対面事業が行われるようで、子どもたちは登校するようです。

小中学生に関しては、親が共稼ぎが多いため、学校閉鎖をすると面倒を見る親が仕事を休まなくてはいけないという問題があります。お隣オーストリアでは小学校も学校閉鎖となっているので、そのうちハンガリーも同様になるかもしれません。

学生寮も閉鎖され、学生も帰省しオンライン授業を受けています。オンライン、と言っても、家庭にPCがない、買えない家庭も(特に小中生)ありその辺の援助措置については何も解決されていません。

劇場、映画館、博物館、美術館、動物園、図書館、フィットネス施設、そしてブダペスト名物の温泉、プールなども営業出来ません。

日に日に感染者、死者が増え、今後の感染者数の変化にもよりますが、新しく追加制限措置も考えられます。

身の回りのスポーツ環境の変化

身の回りのスポーツ環境にも影響が出ています。息子のサッカークラブからのお知らせには、練習、試合では、選手、コーチ、審判以外、マスクの使用が強制され、1.5メートルの距離を取るようにと書かれています。

アマチュアスポーツも様々な制限が掛けられ、職を失ったり、または転職を希望するコーチも出てきています。私がカメラマンとして公認を受けている器械体操に関しても、少なくともコーチが一人辞めており、選手も練習が出来ない期間に、他のスポーツに移った女子選手がいます。

この新型コロナウイルスの影響は様々なところに出ています。

今までのように体育館に子どもたちの楽しい声が響き渡るのはいつになるのでしょうか。

Written by 高橋克實

高橋克實

1985年、彫金を学ぶためハンガリーへ留学、その後、日本人として初めてガイド国家試験に合格し観光ガイドとしてハンガリーで過ごす。ハンガリー体操協会公認カメラマン。

高橋さんについては以下2つの「スポーツは人生を変える」動画があります。↓

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