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2021.04.02
女性とスポーツ・ジェンダー平等 社会を変える!

日本のジェンダーギャップ指数 2021は120位 主婦の在り方を考えてみよう! 無意識の差別を意識しよう!

各国の男女格差を測る、世界経済フォーラムによる「ジェンダーギャップ指数2021」で、調査対象となった世界156カ国のうち、日本は120位でした。ちなみに昨年は121位でした。この1年間でほとんど変化はなく、主要7カ国(G7)および東アジア・太平洋地域で最下位です。

調査は「政治参画」「経済参画」「教育」「健康と生存率」の4分野での男女の格差を数値化したものです。日本は政治(147位)と経済(117位)などの分野で「指導的地位」にいる女性比率の少なさが際立っています。

世界が女性の力を使ってより住みやすい国にしていこうとしている中、日本は一体なぜこれほどまでに男女の格差が大きいのでしょう。そして日本の政府はこれに対してどのような分析をして、どう変えていこうとしているのでしょうか。

内閣府男女共同参画局の前局長である武川恵子さんにお話を伺いました。日本の現状の分析からは、家庭の仕事、いわゆる「無給の仕事」である家事の分担が極端に女性に偏っているようです。私が子どもの頃は「男子厨房に入るべからず」という言葉があったほどです。家事は女性の仕事であるという決めつけはどこから来ているのでしょうか。

米国の証券会社で長く仕事をしていらした岡島喜久子(女子サッカーWEリーグ代表理事)さんは、「日本の税制を変えない限り、女性は主婦&パートタイマーという仕事の仕方に安住し続けてしまうだろう」と話します。すなわち妻の給与収入が103万円以内であれば、夫の配偶者控除を受けられるというものです。スウェーデンでは「こうした優遇措置を撤廃したところ、女性の労働比率が飛躍的に高まった」と在日スウェーデン大使のペールエリック・へーべリ大使が話していらっしゃいました。しかし、100万人以上が103万円以内の優遇措置の恩恵を受けている現在、国会議員たちは誰一人としてこの改革に手を付けようとしないそうです。悪循環で日本ではいつまでも結婚した女性が主婦をしながらのパートタイマーであり続ける形になるのです。

そうは言っても、103万円の壁を取っ払って女性が積極的に仕事ができるようにするためには、子どもたちや高齢者の面倒を見るなど主婦がこれまで担ってきた仕事を、社会の中でケアするシステムを構築することが前提となるでしょう。家族単位で全てをこなすという発想を社会全体で回していくという発想に変えていく必要があるのだと思います。

諸外国と比較した日本の現状分析を男女共同参画局前局長の武川恵子さんが伝えてくださる動画はこちらからご覧いただけます。(取材日は2021年3月13日)

無意識の差別

アンコンシャス・バイアスと言われる無意識の差別意識。

リーダーは男性の方がいい、議長は男性で、秘書は女性で、シェフは男性、パティシエだったら女の子でもなれるかも。こうした思い込みは幼いころからの生活の中で刷り込まれていきます。

女性が参政権を持ち始めたのは女性がオリンピックでスポーツに参加できるようになってきたのと同じような時期になります。男性と同じように女性も身体を使って自己表現をしていく行為が世の中的に認められる時期に、政治的な活動も認められるようになっていったのです。世の中の動きは関連しあっているのです。

長い長い間、女性は生理、経血のために不浄なもの、汚れていると思われてきたのかもしれません。しかしこれがなければ子孫は残ってきませんでした。生物学、医学、生理学が進歩し、女性の身体の仕組みがよくわかってくるにつれ、女性に対する蔑視も少なくなっていきます。男性と女性がいて社会が成り立っていく、両者ともにとても大切な役割を社会で果たしていける存在だという認識が当たり前になってきました。女性の持っている考え方がより人々の生活を豊かにしていくという考え方さえ出てきました。

コロナ禍の中、女性のリーダーがいるニュージーランド、台湾などではコロナ対策も順調に進み、より生きやすい環境が整ってきており、女性政治家への評価も評判も上々です。

なぜ日本だけがこれほど遅れてしまっているのでしょう。子どもの頃からの育てられ方にも問題があるのかもしれません。子どもの頃に見た絵本の中の役割、教科書の中の登場人物、これからはそうしたものにも厳しい目が向けられていくのかもしれません。

そんな疑問を持っているさなか、3月に行われたケニアのスラムの中にある女子サッカークラブへの生理用品配布の折に、偶然私はとんでもないものを見て唖然としてしまったのです。若い10代の女性を前に現地の女性指導者が発した指導の言葉の数々があまりに鮮烈で度肝を抜かれたのです。

「あなた達は自分が思っていることを口に出していいのよ」「夢を持ってそれに向かっていきましょう」力強い語りの数々は聞くものの心を高揚させてくれます。ああ、日本にもこういう教育が本当に必要かもしれない、そう思わせてくれるメンタリングでした。必見です。

世界中が女性の活用を考えているときに、この財宝をほったらかしたままにしていると、どんどん世界からおいていかれることは確かでしょう。

リポート宮嶋泰子

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