一般社団法人カルティベータ |
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2021.12.24
スポーツ・芸術・文化 マスターズスポーツ

90歳のギネス公認最高齢スキー競技者を取材して考えたスポーツの得意と不得意について

子どもの頃に一つのスポーツをやってみて、上手にできないととても悲しくなって、そこから全てのスポーツに見向きもしなくなってしまい運動嫌いになってしまうことはよくあります。運動オンチなんていうレッテルを張られ、自分でもそう思い込んでしまうかもしれません。

12月23日に90歳のギネス公認スキーヤーのドキュメントをカルティベータYouTubeにアップした所、多くの方がご覧くださいました。
そしてその夜、私の携帯に電話があったのです。

相手はミュンヘンオリンピック(1972年)で銀メダルを獲り、次のモントリオールオリンピック(1976年)に金メダルを獲得した飯田高子さん。「いいちょん」というのがあだ名で、ご結婚されてからは神白さんという姓に変わられました。神白さんとはNPO法人バレーボール・モントリオール会で10年程ご一緒に活動をしておりました。

「宮嶋さん、見たわよ、本間かほるさんの90歳の滑り。凄いわねえ。実は私ヤシカで本間さんにバレーボールの指導をしていたの。いやもう驚いちゃって。でも彼女はインタビューの中でも言っているけれど、本当にボールを操るのが下手で、サーブもネットを越えなかったのよね。それなのにあんなにスキーがお出来になるとはもうびっくり。」

神白さんは、珍しく興奮されておりました。

なるほどです。

実は私は本間さんにご自宅でインタビューをした時に、太腿を触らせていただいておりました。スケート選手のウェストほどの腿を触り慣れてきただけに驚くほどのその細さに唖然といたしました。彼女は骨はしっかりしていますが、決して筋肉がたくさんついているタイプではありません。その上、身長も低い。パワーが求められるスポーツは難しいでしょうね。40歳からバレーボールを始めたのですから、ボールになかなか手がついていかず、筋力もないので、ボールが飛ばなかったのがよくわかります。

「バレーは全然ダメだったわ。悪いお手本。悪い見本ばっかりだった」とおっしゃっているのも合点がいきました。でも諦めずに50年間続けられたのですから、これまた立派です。

斜面を滑降するスキーは、バランスをしっかり保っていけば、するすると自然に上から下に降りていってくれます。スピードを追求しない限り脚の筋力はそれほどいらないのかもしれません。私たちはメディアを通じてアスリートのトレーニングを多く目にしています。スポーツをするためには身体を改造する必要があると思い込んでいる節があります。0.01を競う競技であれば別ですが、マスターズスポーツに求められるのは筋力より体全体を使う技術かもしれません。だから90歳の本間さんの細い脚でも滑れるのかなあと思っています。

本間さんがスキーを初めて履いたのは疎開先でのこと。貸靴スキーだったそうです。14,15歳の頃でしょうか。そして、結婚してからはご夫婦で一年に何度もスキーを楽しまれてきました。

スポーツが上手になるかならないかは、一つは向いているかいないか、そしてもう一つは生活の中に習慣として根差すか否かということなのだなあと強く感じました。一緒に楽しんでくれる人がいることは最も大切かもしれません。

もし一つのスポーツでどうもうまくできないなと思ったら、他のスポーツにトライしてみるのもよいのだろうと思います。もうそんなアプリがあるかもしれませんが、あなたの身体の特徴と生活のリズムに合うものはこのスポーツですよというAI診断ができるかもしれませんね。

本間さんは2021年12月9日に、91歳で滑られています。これまた素晴らしい!

元気に好きなことを楽しむ人生。

本間さんから元気をたくさんいただきました。ありがとうございました。

Reported by 宮嶋泰子

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